忍者ブログ
[288]  [287]  [286]  [285]  [284]  [282]  [283]  [281]  [280]  [279]  [278
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

本についても、かなり偏りのある私。
基本的に、読むのはいわゆる「本格」系のミステリが最も多いのです。
翻訳物も好きですが、日本の作家さんにも、新しい作品が出版されたら
必ず買って読む作家さんが数名。
その中の1人が東野圭吾さん。

今回は、「お久しぶり!」と言いたくなる「加賀恭一郎もの」ということで、
出版されてすぐ、いつものようにネットで注文。
到着した本の帯に「直木賞受賞第一作」とあるのを見て、
「直木賞を受賞したんだなぁ、そう言えば…」と(笑)。

到着はしたものの、自宅で本を読んでる時間がない、
電車の中では他のものを読む(笑)ということで、
気になりつつも、すっかり積ん読状態だったのですが
先日、通勤電車の中で、立ったまま、吊革を片手に
この本を読んでらっしゃる女性の方がいらっしゃって
(やっぱり売れてるんですね、さすが直木賞作家 / 笑)
「あぁ、読まなきゃ…」と思った次第。
お昼ご飯をこの本を片手に食べつつ、一気に読破しました。
あまり長くないのと、東野作品らしく、実に読みやすい文体で
1時間あまりで読めてしまいました。

 息子が少女を殺害してしまった、その親の視点で
 話が進んでいきます。
 部屋に引きこもる中学生の息子、その子との関わり方に戸惑う
 平凡なサラリーマンの父親と、ひたすらに息子をかばう母親。
 そして同居する祖母。
 息子と母親、嫁と姑、さまざまな人間関係が交錯する中で
 息子が犯した罪に両親、主に父親がどう対処するか、
 それが父親の視点で語られていきます。

東野作品、特に加賀恭一郎ものらしく、読みながら、
或いは読み終えた時点で、いろいろなことを考えてしまいました。

東野さん自身が「普通の人間が事件に直面した時」の
心の動きを描きたかったと言うように、加害者の父親、前原昭夫は
あまりにも平凡な人物。
厄介なことはひたすら避けつつ、ただ早く過ぎ去ってくれることだけを
願い続けているような、そんな人物なんですね。
為すべきことを一切為さず、直面すべき問題に直面せず
そのくせ、「あの時ああしていれば…」と後悔ばかりする。
そんな彼の決断に呆れたり、イライラしたりしつつも
ふと、自分自身を振り返って考えてみたり。

少年犯罪についてだけではなく、今回は認知症の家庭における介護の問題も絡め
前原昭夫と息子という親子関係の他に、前原昭夫とその母親、という
もう一つの親子関係が軸になっています。
介護というのは、仕事でも、また個人的にも、かなり身近であり、
また、いろいろ考えてしまうことの多い問題だったりすることもあって
この母親と前原昭夫の関係がとても悲しかったです。

ですが、どんなに重たい話でも、加賀恭一郎という人がいると
いつも何となく救いが感じられるんですよね。
今回は彼自身と彼の父親との関係も描かれていて、
前原親子との対比が非常に印象的でした。
ラストでは、彼と父親の関係に胸が熱くなりましたから…。

東野圭吾作品、実は彼の名前が一躍知られるきっかけになった『白夜行』、
そして直木賞受賞作『容疑者Xの献身』は読んでないんです。
『白夜行』は、途中まで読み進んで、放り出したきりで
『容疑者Xの献身』に至っては、購入さえしていない…(苦笑)。
なぜなら「社会派ミステリ」と称されると腰が引けるので(笑)。
でも、そのうち時間ができたら読みたいとは思ってるんですけど。
社会派でもなんでも、加賀恭一郎が登場するなら、何でも読むんですけどね。

講談社BOOK倶楽部「赤い指」
 http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/akaiyubi/

PR
この記事へのコメント

どうぞお気軽にコメントください:)
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)

*パスワードを入力しておいていただくと、送信後、ご自身でコメントを編集していただけます。



●Thanks Comment
無題 
小穂さま、こんばんは!

「赤い指」私も一昨日読み終ったところでした。
事件自体が、すごくリアルでつらいものだったので、ラストにどこか救いが感じられて、ホッとしました。
東野作品「百夜行」(面白いです!)以降はほぼ読んでいますが、それ以前がポツポツのため、「加賀恭一郎」に馴染みがありませんでした。
もう7作もでているキャラクターなのですね。
小穂さまのお気に入りキャラクターのようですので、探して読んでみます。

「神鵰俠侶」(もちろん日本版)小穂さまの「わかりやすい」とのお言葉を信じ
ようやく読み始め、早々に1巻を終了。
面白くて、あっという間でした。もちろん「ようか」と読んでいるわけですが・・・
「射鵰英雄伝」を先にしなくてはいけなかったかと思いつつも
2巻目突入ですが、少し間が空いたので「うーんと・・・」となっております。
長々コメント、失礼しました。
yorum 2006/10/29(Sun)21:00:57 EDIT
yorumさま
こんばんは!
yorumさんも、ちょうど読んでらっしゃったんですね。
話に乗っていただけて、嬉しいです。
長いコメントをいただくのは大歓迎です。
こちらも長〜いレスで、失礼します(笑)。

話自体は、やはり重苦しいものでしたね。
物悲しくなるというか…。
でもおっしゃるように、ラストで救われた気がしました。

『白夜行』、評判良いですもんね。
東野作品のベスト3に入ると言われていたりするのに、
途中で放り出したっきりと言うのもいけないですね…(苦笑)。
私はyorumさんと逆で、『白夜行』以降、東野作品を買う&読む頻度が
下がってしまってるんですよね…。
それ以前の、如何にも「本格」というのが非常に好きだったので。
今の作品も、勿論大好きなんですが…。

加賀恭一郎は大のお気に入りです(笑)。
いつも基本的に優しい視点で人を見ている気がして、
悲惨な話や絶望的なストーリーでも、彼がいると救われる気がします。
今回は久しぶりの登場だったので、すごく嬉しかったです。

『神鵰俠侶』は 如何でしょうか。
名前やら地名やらは、最初はちょっと取っ付きにくいですが、
ストーリーは単純で分かりやすいと思います。
楊過は「やん・ぐぉ」っていう感じでしょうか。
「過兒」は「guo er」で振り仮名をふれば、
「ぐぉあ」という音に近いかな、と思います。

登場人物を把握するには『射鵰英雄伝』からの方が
わかりやすいと思いますが、『神鵰』も独立した話ですし
『射鵰』を後から読まれても、問題はないと思います。
『射鵰』も、かなり面白いです。

新修版を読み進めていると、かなりストーリーが
わかりやすくなっているんですよね。
どうせ文庫化するなら、新修版を翻訳して欲しかったなぁ
なんて思ってしまいます。
過兒と小龍女のシーンも、とても増えているので楽しいです。
小穂 2006/10/30(Mon)04:16:18
ご挨拶

いらしていただいてありがとうございます。
来てくださる方の限られたこっそりblogですが、お付き合いいただけましたら嬉しいです。

TBは受け付けておりませんが、コメントはいつでも大歓迎です。
古い記事についてのものでも大歓迎ですので、お気遣いなくコメントしていただければと思います。
もしもお気が向かれましたら、いつでもどうぞ。

また、各記事につけにくいコメント、あるいは足跡を残してくださる場合などにはこちらをお気軽にご利用ください。
また、管理人にのみ表示するかたちでコメントしていただくことも可能です。
ただ、その場合、こちらから差し上げるお返事も見えなくなってしまいますので、お返事用のエントリーを設けております。
非公開でコメントをくださった時には、そちらにお返事をさせていただきますので、ご確認いただけますと幸いです。
お返事用のエントリーはこちらのコメント返信用になります。


これからもマイペースでほそぼそと続けていければと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。

contact
管理人へのcontact、もしくは非公開でのメッセージには、以下のアドレスをご利用ください。

(メールソフトが開きます)

MailFormはこちらからご利用ください。

カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
小穂
自己紹介:
好きなことを好きなように書いていますが、お付き合いくださると嬉しいです。
Link
Last.fm
ゴガクルブログパーツ
Bloglines
バーコード
Copyright © 日日夜夜 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
-Natural breeze-
1キロバイトの素材屋さん
忍者ブログ [PR]